12月30日11時
フィニッシュから一夜明け、穏やかなホバートの街に滞在中です。
ベンガル7は12月29日11時56分38秒に、初めてのシドニーホバートレースを無事にフィニッシュしました。
昨日早朝の記事をアップした後は、かなりエキサイティングなレースとなったので、フィニッシュ後ですが、その模様を記載しておきますね。
うまく島影の風の弱いゾーンを突破し、タスマン島にアプローチしたのは29日朝6時30分ごろ。島に近づくと急に風が不安定になってきます。
タスマン島横では、艇速10ノット近くで走っていたのに強烈な向い潮にあたって急減速。あろうことか風が一瞬で180度変わり艇がバックし始めました。必死に艇をコントロールしながら、なんとか島を通過できたのは約20分後。再び20ノットオーバーの風の中をハードなクローズを開始し、ほっとしたのもつかの間、今度は前方から怪しい雨雲が近づいてきます。
さすがストーム・ベイという名前は伊達じゃないなぁ。。なんて多少のんびり構えていたら、なんとそれは予想より早く到達した強烈な寒冷前線でした。オルガンパイプと呼ばれる切り立った崖の真横で、急に風向が90度変わり、風速は一気に50ノット近くに到達。ヘッドセールが一瞬で吹き飛んでいきます。
すぐにセールを回収し、なんとかメインセールだけでタックしながら最初の半島を切り抜けに成功。暴風の中フィニッシュまでは残り30マイル。メインセールだけで10ノットオーバーの艇速を保ちつつ、ヘッドセールを再びあげるべく、荒れる艇内ではセールの改造が進められます。まわりの景色を楽しむ余裕もないまま、残り15マイルのところでストームジブを展開。風速60ノットをはるかに越えるガストの中を再びフルパワーでセーリング再開です。暴風のままダーヴェント川を北上しフィニッシュラインまであと2マイルまでくると、なんと今度は風速0ノット!
ホバートの街を囲む高い山の影響で、ビターッと風がなくなった中に、時おり40ノット近い突発的なブローが山から降ってきます。超オーバーヒールと停止を繰り返しながら、じりじりと前に後ろに進みつつ、ようやくフィニッシュ。とっても濃い、充実した3日間が終了しました。
その後は、大勢の観客やサポートメンバーのみなさま、テレビクルーにお迎えしていただき、まずは乾杯。到着したホバートは、ハーバー横で開催中のフードフェスティバルのため、うまそうな匂いがする街でした。
邨瀬キャプテン以下、レースメンバー全員が無事にこのレースを終えられたのは、ブログにコメントを寄せて頂いている方々をはじめ、サポート頂いている全員のお陰です。本当にありがとうございました。
このあとベンガル7はシドニーへ回航し、数週間のつかの間の休息。
そして再び赤道を越え、トランスパックに向けた長い旅の始まりです。
■ベンガル7・シドニーホバート2012チャレンジ
 スタート:12月26日13時
 フィニッシュ:12月29日11時56分38秒(2日22時間56分38秒)
 最高速度:27.2ノット(ワッチBチーム・荒川海彦)